084:温故知新

読み:おんこちしん
意味:前に習ったことや昔の事柄を復習し考えて新たな道理や知識を会得(えとく)すること。
出典:『論語』<為政 第二>

解説①:
 この四字熟語の出典『論語』は、孔子(こうし、紀元前552/551年~紀元前479年)とその弟子たちの言行を、孔子が亡くなったあと、弟子のそのまた弟子、いわゆる孫弟子あたりが編集したものらしいということです。
 今回は、その中のひとつ「温故知新」です。

 子(し)曰(いわ)く、故(ふる)きを温(あたた)めて新しきを知る。以(もっ)て師(し)為(た)るべし。

「子(し)」は、学識があり人格のすぐれた人に対する尊称で孔子のことを指します。

「曰(いわ)く」とは、「・・・とおっしゃる(おっしゃっている)」という意味で、誰かが言った言葉などをそのまま伝えるときの表現です。

「故(ふる)きを温(あたた)めて新しきを知る。」とは、「先人(せんじん、昔の人)のすぐれた学問、業績、研究の成果などを深く十分に学んでそれをよく理解し、それをもとに今の世に求められているものが何であるのかを追求する。」というようなことだろうと思います。
 そして、最後に、「そういう人こそ、師(し)になる資格がある。」と言っています。

「温(あたた)める」は「たずねる(尋ねる)」とも読まれます。「故き」は「古き」とは書きません。

「師(し)」は「先生」と思ってしまうかもしれませんが、先生という意味も含め、「人々の手本になる人、人々の模範となる人、立派な人、尊敬に値(あたい)する人物」といった広い意味で使われていると思います。学校や塾などの教師・先生といった狭い意味ではなく「人を教え導くにふさわしい人格を備えている人」という理解でいいかと思います。

解説②:
 一般的に「故きを温めて新しきを知る。」は解説①のような理解になると思いますが、『論語:新釈漢文大系』では、次のような解説が「余説」として加えてありました。原文の表現が少し難しく感じたため、子どもたちに伝えることを前提に書き改めてあります。

「人の師となる者は、故きを温めるだけにとどまってはいけないし、十分な研究もしないままに新しいものを追い求めようとしてはいけない。」
「故きを温めるだけでは、いかに広く学んだとしても、百科事典にしかすぎない。一方、十分な研究もしないままに、ただ新しいものを追い求めようとするだけでは間違った方向に進んでしまう場合がある。」
「過去の事柄や研究の成果を十分に究め、漏れがないかどうかを確認しながら、時代に合ったものを発見発明していくべきであり、そうでなければ学問の意味がない。」

 つまり、「故きを温める」ことと「新しきを知る」こと、どちらか片方だけでは意味がなく、この2つが揃ってこそ、意義あることだと言いたいのだと思います。

解説③:
 この四字熟語にある「温」「故」「新」の意味や成り立ちについては、「出直し!漢字学習」のコーナーでそれぞれ解説しますので、そちらをご覧ください。
 「知」については、出直し!漢字学習の「知と智」で解説しています。

*参考資料
『論語』加地伸行、講談社学術文庫
『論語』吉田賢抗、新釈漢文大系第1巻、明治書院

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