前回、「畏」について調べている時に気付いた点を整理してみたい。
「畏」の下の部分は、「長」と同じように人の体の部分を表しているということから、「良」も同じだと考えていたら、古い字形は違うことがわかった。
「良」の古い字形は、
辞書によって解釈に違いはあるものの、共通点を整理してみると、
「なんらかの器具のような物を使って、穀物を選別している形」
で、真ん中の四角い箱のようなものが「なんらかの器具」。上下の波線のようなものは穀物で、その穀物が器具の中を通っている形。そうして、良いものを選ぶことから、「良い」という意味に用いられる、ということだと思う。
しかし、この古い字形が、なぜ、「良」という字形へと変化したのか?
そこで、良とよく似ている漢字の「艮」と何か関係があるかもしれないと思って調べてみた。
「艮」の古い字形をここでは表示できないが、
「目+匕(人)」
で、「匕」を人と見るか、ナイフやスプーンのようなものと見るかによって、解釈が大きく異なっているが、共通点を整理してみると、
「目が強調されて描かれている」
ということだと思う。
「艮」の基本的な意味は、
・背(そむ)く、逆らう、とど(止・留)まる
「目は口ほどに物を言う」というが、「艮」はそれを表現しているのかもしれない。
また、「艮」は、「うしとら(丑寅)」と訓読みし、北東の方角を意味する。
北東の方角は、鬼が出入りし集まる所といって忌み嫌われる「鬼門」で、万事に良くないらしい。
あくまで、私見であり仮説だが、
艮=悪
と考え、その対義語として、「艮」の上に点を打って、
良
という漢字ができたのではないかと思う。
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