蛙:漢検準1級

旁の「圭」につられて、ケイと読んでしまいそうだが、音読みは「ア」。「ワ」と読むときもあるようだが、「ワ」と読む熟語は見つけられなかった。

訓読みは、「かえる」。「かわず」とも読むが、この場合は、「カジカガエル」を指すようだ。

その他、訓読みでは、「みだ-ら」と漢検辞典にはある。漢字源には、「さわが-しい」という訓読みもあった。そのため、

「蛙声(アセイ)」という熟語は、
①かえるの鳴く声、という意味のほか、
②みだらな音楽、という意味もある。

みだらな音楽というのがどんな音楽なのか、具体的にはわからなかったが、おそらく、当時の世の中の乱れを反映した音楽ということだと思われる。

さて、この「蛙」という漢字。元は、「圭+黽(ビン・ベン)」で、圭が左で黽が右であったり、圭が上、黽が下、という場合もある。

「黽」はかえるの象形文字。それがいつしか、「虫」に置き換えられてしまったようだ。「虫」も象形文字で、へび(まむし)を表していて、それが、爬虫類や貝類、昆虫類などの小動物などの意味に用いられるようになった。

では、「圭」という漢字。これは「土(つち)」を重ねた漢字だから、土の中にいる虫で、「かえる」という意味に当てたのかなあと思っていたら、?。

それで、「圭」の意味を調べてみたら、『漢字源 改訂第五版』には、
①天子が領土を与えたしるしとして、諸侯に与える玉器。
②かど。きちんとかど目がたっているさま。転じて、すっきりしたさま。
③ますの容量の単位。一圭は、一升の十万分の一。
と、あり、漢字の成り立ちは、
「会意。圭は「土+土」で、土を盛ることを示す。土地を授けるとき、その土地の土を三角の形に盛り、その上にたって神に領有を告げた。その形をかたどったのが圭という玉器で、土地領有のしるしとなり、転じて、諸侯や貴族の手に持つ礼器となった。」
と、ある。

他の辞書では、「圭」は象形文字であるとして、①の玉器の形を表している、ということなのだが、腑に落ちない。それで、自分なりに考えてみたところ、

玉器は、土砂が積み重なってできた地層から産出された美しく珍しい鉱物で作られていたと思われることから、その産出される場所をイメージして「圭」という漢字を当てた、

と考えると納得がいく。今の時代ではダイアモンドなどの宝石のようなものなのだろうから、希少なもの。それで、③のような数が少ない意味に派生したのではと思う。

元に戻って「蛙」という漢字をみてみると、土の中から出てくるカエルをイメージしているのではないかと思う。一般的には水辺で生活しているように思えるが、冬などには土中で過ごし、春になると出てくるイメージがある。昔の人ももしかしたら、そういった季節を感じるものとして、カエルをみていたのかもしれない。

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