遺:教育&常用漢字、漢検5級

音読みは、「イ、ユイ」。「イ」がほとんどで、「ユイ」と読むのは「遺言(ユイゴン):死後のために言い残す言葉」ぐらいだろうか。
訓読みは、「のこーす、のこーる、わすーれる、すーてる、おくーる」。
訓読みで読むことはほとんどなかったが、「遺産、遺失物、遺棄」といった熟語をみると、確かにそういった訓読みになる。「おくーる」という訓読みも、見方を変えれば、「のこーす」といった意味合いになることから、「遺贈(イゾウ):死後、遺言によって財産を譲り渡すこと」の場合は、そういう読みになるんだろうと思う。

この漢字の構成は、
辶+貴
「辶(しんにゅう、しんにょう)」は、「行く」「進む」といった意味合い。
「貴」は、「とうとい、とうとぶ」などと訓読みし、「価値ある物や身分が高い人」といった意味合いを持つ。
では、なぜ、「遺」に「のこーす、のこーる、わすーれる、すーてる、おくーる」という意味があるのか。「貴」の成り立ちをもとに考えてみたい。
まず、「貴」という漢字は、次のような漢字(本字)がもととなっている。

上部の漢字は、
𦥑󠄀+人=臾
「𦥑󠄀」は「キョク」と音読みし、「両手」を意味し、「持ち上げる動作」などを表す漢字に使われている。
この「𦥑󠄀(キョク)」は「(キュウ、うす)」という漢字に似ていて、部首として「臼(キュウ、うす)」に含まれている場合があるが、本来は別字。
「貝」は、ここでは「貨幣(カヘイ):商品などと交換できる価値あるもの」のこと。
よって、「貴」は、
 両手で貨幣を持っている様子
を表していることになる。
その「貴」に「辶」を加えることによって、「のこーす、のこーる、わすーれる、すーてる、おくーる」というような意味が当てられるようになったと考えられる。

この「遺」を含む熟語で、漢検1級対策として覚えておきたいものを挙げてみる。
遺賢(イケン) *類:遺珠(イシュ)
才能に恵まれながら認められず、民間に埋もれている人。

遺芳(イホウ)*類①:遺薫(イクン)、*類③:遺墨(イボク)
①後までのこる香り。
②死後までのこる名誉・業績。特に、すぐれた詩文や書画。
③個人の書きのこした書画。

遺算(イサン) *類:遺計(イケイ)
物事を行うのに不完全であること。計算違い。見込み違い。

遺策(イサク) *類①②:遺計(イケイ)
①手抜かりや、見落としのあったはかりごと。
②先人ののこしたはかりごと。
③散逸した部分のある、昔から伝えられた書物。*「策」は、竹札・木札に書いた書物。

遺行(イコウ)
人々から見すてられるような行い。間違った行いのこと。

遺矢(イシ)
大小便をもらす。*矢は、屎(シ、くそ)。

遺世(イセイ)
俗世間との関係を断って顧みない。

遺直(イチョク)
昔の人々が持っていたのと同じような素直な性質を持っていること。

遺溺(イジョウ)
夜、眠っているときなどに小便を漏らす。寝小便。

遺風 *類④:駿馬(シュンバ、シュンメ)
①むかしのおもかげ。残っている名誉。
②むかしからの風習。
③速い風。疾風。
④速く走る馬。

問遺(モンイ)
無事かどうか、元気かどうかと安否をたずねて物を贈る。ご機嫌伺いに物を贈る。

拾遺(シュウイ)
①落ちている物を拾う。転じて、物事の容易なことのたとえ。
②記録・書物などをつくるときに、今までの記録・書物に採録されていない記事を集めて補う。
③君子の言行の不完全なところをさがし、いさめる。
④唐代の官名。天子のあやまちをいさめる役。

補遺(ホイ)
書物などの中の一部のもれた所を補い足す。また、その補ったもの。

遺臭万載(イシュウバンサイ)  *対:垂名竹帛(スイメイチクハク)
悪い評判をずっと後の世までものこす。

以上



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