為
この漢字、いったいなぜ、こんな字形なのか?
調べていくうちに面白いことがわかってきた。
まず、この漢字の古い字形は、
「手(爪)」と、動物の「象」との組み合わせ。
ちなみに、象の古い字形は、
・・・と、こんな感じ。
「象」は、向きが反対にはなっているが、古い字形をそのまま今の字形に自然に変化させていったように思える。
一方、「為」はかなりデザイン化されているが、よく見てみると、2画目の長い「ノ」は象の鼻のようにも思えるし、最後の4つの点は足。そして、段々に積み重ねられたような形は象の大きさを表そうとしたのかもしれない。
いずれにしても、「象」は象形文字で、「為」は「手」と「象」の会意文字であることが、字形の変化に表れているように思う。
では、改めて、「為」についてみていく。
音読みは、「イ」で特に問題なし。訓読みは、「なーす、すーる、ため、つくーる、
なーる」と、多い。
意味は、
①なす。する。行う。「行為(コウイ)」
②ため。ために。「~のため、~のために」
③まねする。いつわる。「作為(サクイ)」
④つくる。設ける。
⑤なる。・・・となる。・・・になる。
では、なぜ、このような意味が生まれたのか。それは、人と象との関わり方にあるように思える。
今の時代、象は動物園でみる動物という印象が強いが、古い時代、人は象を飼いならし、使役していた。知能も高く、人に馴れやすいということがあったからかもしれないし、なによりその大きさと力から、重い物を運んだりするのに頼りになる動物だったんだと思う。
それを踏まえて上記の意味を改めてみてみると、なるほどと思う。
③の「いつわる」は、漢字で書くと、
「偽る」
人が何かを作り出したものは自然のものではない、という意味合いからそういう意味が派生したのかもしれない。
「偽」という漢字をみていたら、老子の「無為自然」という言葉が浮かんできた。
いずれにしても、力の強い象が果たす役割というのは人間にとって大きかったのだろうと思う。
余談だが、象の長い鼻。この鼻は実は、鼻と上唇が一緒になって伸びたものだとのこと。そして、鼻の先には指のような突起があって、小豆(あずき)サイズのものも掴(つか)めるとのこと。
う~ん、今度よくみてみよう。
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