意
この漢字を単純に分解すると、
立+日+心
しかし、これだと、「意」の意味が正しく理解できない。
「意」は、二つに分ける。
音+心
音は人の言葉とならない「おと」の意味。言葉になる前の「おもい」の意味を表す。
『新漢語林』
では、「音」はというと、
辛+口=言 ⇒ 言+一=音
という成り立ち。
「辛」は、「辛(から)い」という意味もあるが、元は、
・罪を犯した人に、刑罰として入れ墨をするための針の形
で、針で刺されたときに感じる痛みを表す。
「言」は、その「辛」と「口」。
口は、身体の口(くち)ではなく、誓(ちか)いの文書、あるいは文書を入れた器。もしその誓いに背(そむ)くようなことがあれば、刑罰を受けることを前提として、誓う、謹んで言う、という意味を表す。
「言」の成り立ちを、
心+口(くち)
とする説もあるようだが、それが正しいかどうかはわからないとのこと。
そして、「音」はというと、
言の上の部分を「立」という字形に変化させ、口に一画を加え、
言:音
というふうに、字形と意味の区別をわかりやすくしようとしたのではないかと思う。
「音」の成り立ちについては、各辞書で異なっていて、どれが正しいのか判断できなかったため、自分なりに考えてみた。
以上のような成り立ちを踏まえて、「意」の読みと意味をみてみる。
音読みは、「イ」。訓読みは、「こころ」「おもーう」。
意味は、
①こころ。
・気持ち。思い。
・考え。見解。主張。
・心の持ち方。心がけ。心の向き。意思。
・わけ。意味。意義。
②おもむき(趣)。しみじみとした味わい。雰囲気。
③おもう。考える。推測する。また、疑う。
①から③までの意味をみていると、「意」は、人や物、自然など、自分を取り巻く他の物・事へ自分の心が向かい、動くことを表しているのではないかと思う。そして、派生的に、疑うという意味まで持つようになったのかもしれない。
基本的な漢字であるためか、あるいは、派生義が多いためか、簡単な漢字の組み合わせであっても意味がわからない熟語も多くあった。
①から③の意味を頭に入れて、以下の熟語をみてみたい。
・意会(イカイ)
悟(さと)る。おしはかって理解する。
*「会」は、ここでは、悟る・理解する意。
・意趣(イシュ)
①思惑(おもわく)。意向。
②理由。
③[日本]恨み。「意趣返し(恨みを返すこと)」
・意緒(イショ)
あれこれの思い。
・意表(イヒョウ)
思いがけないこと。考えていなかったこと。意外。予想外。「意表をつく」
・意旨、意指(イシ)
考え。こころがけ。おもむき。
・不如意(フニョイ・イのごとくならず)
①思うようにならないこと。
②[日本]貧しくて、家計が苦しいこと。「手元不如意」「不如意な暮らし」
・命意(メイイ)
①絵や文学などの作品を工夫する。また、工夫。
②作品の主意。
・柳意(リュウイ)
①柳の心。▽詩人が想像していうことば。
②春の気配。*柳(やなぎ)の若い芽(め)が出る頃。
・商意(ショウイ)
秋の気配。*「商」は、五行で秋に当てる。*商気(ショウキ)も同じ意。
・称意(ショウイ)
心にかなう。気に入ること。
*「称」は、ここでは、ぴったり合う、適合する意。
・造意(ゾウイ)
①犯罪の計画を中心になって考えること。また、その人。
②工夫し考案する。
・率意(ソツイ)
心に従う。意のままに。
*「率」は、ここでは、従(したが)う意。
・新発意(シンボッチ・シンボチ・シボチ )*読み方に注意!
[仏教]新しく仏門に入った人。出家して間もない人。
以上、「意」について調べてみた。
小学校で習うような漢字は簡単そうに思えるが、意味が派生していくため、けっこう難しい。元の意味をきちんと理解しておくことが大切だと、つくづくそう思う。
どうりで、なかなか受からないわけだ<笑>
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