按
「手+安」という、簡単な漢字の組み合わせだが、意外と難しい。
まず、訓読み。
・按える→おさえる
・按べる→しらべる
・按える→かんがえる
音読みの熟語で気になったのは、
・按針→あんじん
改めて、「安」の成り立ちを調べてみた。
「安」は、家の屋根をあらわす「宀(ベン)」と女性。女性が家の中にいることから、
・落ち着く
・やすらぐ
という意味を表している。
その「安」に手を添えたのが「按」。元々は「安」と同じような意味だったと思うが、手を付け加えることによって、
・落ち着かせる
という意味合いをもたせたのではないかと思う。そのため、
・なでる
という意味もあるようだ。
「落ち着かせる、なでる」→「おさえる」と派生し、さらに、おさえる行為が調べることになり、調べることが考えることにつながっていったのではないかと思う。
「按摩(あんま)」とは、
・「筋肉をもみほぐして血行をよくすることによって、疲労を回復したり病気を治したりする療法。またそれを職業とする人」『漢検漢字辞典』
とあり、「按」の意味がよくあらわれている熟語だなあと思った。
それから、最初に挙げた熟語、
「按針」
この漢字をみて、頭に浮かんだのは、
・三浦按針
という人。日本へ来た最初の英国人といわれるウィリアム・アダムズ(William Adams)の日本名。徳川家康が名付け親だとか。
按針とは、
・船の安全な航海を職務とする責任者。航海士。『漢検漢字辞典』
のこと。『広辞苑』には、磁石の針によって船の航路を定める水先案内、とある。
漢検では、
按針=航海士
という言い換え問題が出るかもしれない。すでに出題済みかも?<苦笑>
按が含まれる熟語もいろいろあるが、訓読みにある「おさえる、しらべる、かんがえる」という意味をしっかり覚えておくことが大事。
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