扱:常用漢字、漢検4級


簡単そうに思える漢字だが、なかなか難しい。

まず、訓読み。

・「こきおろす」→「扱き下ろす」:
①悪いところを取り上げて、ひどく悪く言う。
②しごき落とす。

・「しごく」→「扱く」:
①厳しく鍛える。また、暴力をふるって痛めつける。
②長いものなどを片方の手で持ち、もう一方の手ではさんで強く引く。

両方とも、①の使い方はよくわかるが、②がよくわからない。調べてみると、
「扱き下ろす」は、「煙筒からは風に―・された煙の中にまじって火花が飛び散っていた」〈有島・カインの末裔〉、のように使うらしい。
また、
「扱(こ)く」は、「稲・籾(もみ)をこく」というふうに使い、殻をこすり落とすような動作を表している。脱穀というとわかりやすいかもしれない。

「扱(しご)く」は、「帯をしごいて、締める」というふうに使われる。もともとは、武家の女性や女児が家の中で着物の裾(すそ)を引きずるように着ていたため、外出時に裾をたくし上げてひもで締めていた、ということらしい。『きもの用語大全 Powered by 創美苑』

音読みは、「キュウ」「ソウ」と読むらしいが、熟語がなかなか見当たらなかった。『字統』に、
・「扱衽」→「ソウジン」
というのがあった。着物の裾(すそ)を帯にはさむという意味らしい。その他、
『字通』に、
・「扱免」→「ソウメン」:着物の裾を帯にはさみ、肩を脱ぐ。
・「扱綸」→「ソウリン」:釣り糸をひく・垂れる。
・「扱排」→「キュウハイ」:収めとる。

というのもあった。「収める」という意味のときは、「キュウ」と読むのかも?

次に「扱」の成り立ちについて考えてみる。

「及」の古い字形をみてみると、人が後ろ向きになっている状態で、足の辺りに手がかかっているように見える。その様子をどう見るか。

辞書によって違いがあり、
・人を捕まえるさま。
・人に追いつくさま。
・逃げる人に、追いかける人の手が届くさま。

などなど・・・。

そういった様子に、手偏が加えられ、「扱」という漢字ができたということで、改めて「扱」の意味を『新漢語林 第二版』でみてみると、

①おさめる。おさめ入れる。=収。 
②つまむ。とる。 
③ はさむ。さしはさむ。=挿。 
④ およぶ。とどく。
*日本
①あつか-う。また、あつかい。 
②こ-く。しご-く。かきおとす。 
③こ-ぐ。草木を根元から引き抜く。

『字統』によると、「わが国ではこの字を”扱(あつか)うと読む。扱うとは、あれこれと世話をやくこと。そのために苦労し、やりくりするなど、厄介(やっかい)のかかることをいう。また、”扱(しご)く”と読むのは、強くはさみ取ることから転じたものであろう。本来の字義よりも、国語としての訓で用いられる字である。」とのこと。

まさに、「取扱注意!」の字だった<笑>。

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