さく:ようろう たけし
え:よこやま かんた
発行所:講談社
発行年月:2022年6月(第1刷)
出版社からの内容紹介:
「みんなも、たまごだったんだよ。とりや さかなや むしと おなじだね」
読んで、感じて、考える。子どもから大人まで、世界一わかりやすい養老孟司の本!
わたしたちをとりまく自然。そこにはたくさんの生きものがいます。
それらの生きものと自分とのかかわりを、先生と子どもたちが考えていきます。
ヒトと世界のかかわりを、『バカの壁』など多くの教養書でベストセラーを持つ養老孟司先生の語りかけと、のびのびとしたタッチに定評のある横山寛多氏のイラストで描く絵本です。
養老先生と子どもたちが昆虫採集に向かう、というストーリーの中に、養老先生の自然や人へのまなざしや、子どもたちに伝えたいエッセンスが、平易であたたかいことばでぎゅっと凝縮されています。
子どもから大人まで、すべての世代の方におすすめの、自分の人生を楽しむヒントと示唆に富んだ作品です。
随感随筆:
この絵本を読んでいて、すぐに頭に浮かんだのが、曹洞宗のお経にある一節。
そこには、次のような教えがあります。
「自分も他人も違いがない、区別できないのです。」
「自分と他人は、時に応じて窮(きわ)まりなく同じです。」
「海が川の水を受け容れるのも同じだからです。同じであるがゆえに多くの川の水が集まって海になるのです。」
これは『修証義』の「第四章 発願利生(ほつがんりしょう)」の中にあるんですが、この章は、人々を幸福にしたいと願い、仏道に励むことが説かれています。自分と他人の区別をなくすことによって、川の水を集めた大海のように大らかに生きてほしいと願う内容です。
一方、この絵本では、
「まわりの しぜんと、じぶん。なにが ちがうんだろう。」
「じぶんは しぜんで できている。そうでしょ?」
と、養老先生ならではの問いかけ。
自分と同じように他を慈しみ愛する心を育ててくれる、意味深い絵本です。
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