読み:どうちょうとせつ
意味:学問や知識を正しく理解しないで、いいかげんに知ったかぶりをして他人に話すこと。また、真に身についていない受け売りの学問にもいう。
出典:『論語』<陽貨 第十七>
解説①:
まずこの四字熟語の書き下し文と現代語訳をみてみます。
*『論語』加地伸行氏より。
<書き下し文>
子曰く、道に聴きて塗(みち)に説(と)くは、徳を之(こ)れ棄(す)つるなり。
<現代語訳>
老先生の教え。受け売りするのは[無責任であり]、自分で不道徳となってしまうことだ。
解説②:
書き下し文「道に聴きて塗(みち)に説(と)く」を単純に表わすと、「道ばたで聞いたことをそのまま路上で説明する」というような感じになるかと思います。
これだけだと、道ばたで何を聞いたのかがはっきりしません。そして、井戸端会議のような場での世間話や噂話などといった、わたしたちの日常を想像してしまうと、この四字熟語の真意を理解したことにはなりません。
現代語訳を読んでわかるように、道ばたという場所は学校というちゃんとした場所ではないことをわかりやすく示すための表現であって、問題なのは「何を」聞くのかです。
では、何を聞くのかというと、先人の教えであり、道徳的なことになります。人として生きるために有益と思われる先人の教えをきちんと学ばず、正しく理解しないままで済ませてしまうと、自分のためにならないだけでなく、後世の人たちのためにならないということだと思います。
解説③:
「道聴塗説」は「道聞道説」でもいいように思いますが、ではなぜ、「聞く」ではなく「聴く」なのか、「道」ではなく「塗(みち)」なのでしょうか。
まず、「聞く」と「聴く」の違いですが、『例解学習漢字辞典』では次のように解説されています。
「聞く」:自然にきこえてきて耳にはいること。
「聴く」:自分から注意して耳をかたむけてきくこと。
細かい違いは他にもあると思いますが、おおまかにこのような違いだということがわかっていればいいと思います。
「聴」については、出直し!漢字学習のコーナーで改めて解説しますので、そちらをご覧ください。
次に「塗」ですが、「ペンキを塗る、日焼け止めクリームを塗る」など「ぬーる」という言葉が頭に浮かびます。
ではなぜ「塗」が「みち(道)」になるのかですが、「塗」の下にある「土」が「つち、どろ(泥)」を表わして、土や泥で塗り固めた「道」という意味に使われている漢字のようです。
「道」でもいいように思いますが、道とは違った印象を与える漢字「塗」を使って、この四字熟語で言いたいことを強調しているのだと思います。
「塗」についても、出直し!漢字学習のコーナーで改めて解説したいと思っています。
*参考資料
『論語』加地伸行 全訳注、講談社 *講談社学術文庫
『論語集注』土田健次郎 訳注、平凡社 *東洋文庫841
『例解学習漢字辞典 第七版』藤堂明保 編、小学館
「陽貨第十七 14 子曰道聽而塗説章」『Web 漢文大系』藤川全祐
https://kanbun.info/keibu/rongo1714.html

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