斡:漢検準1級


この漢字だけみると、?、だけど、

斡旋(あっせん)、と書くと、「あ~、そうか」となる。

音読みは、「アツ」と読む場合が多いが、意味の違いによって、「カン」と読む場合もある。
・「アツ」:巡(めぐ)る。めぐらす。回(まわ)る。まわす。
・「カン」:司(つかさど)る。管理する。

それで、

斡維は、「カンイ」と読んで、車輪などのぐるぐるまわる物を止める中軸。というような意味になるらしい『角川新字源 改訂新版』。

漢検での出題予想としては、音読みと訓読みの組み合わせで出題されそうな感じがする。

成り立ちについて調べていたら、いろいろと興味深いことがわかってきた。

まず、この「斡」という漢字は、

「倝(カン)+斗」

「倝」は、
『字統』によると、「旗ざおと、吹き流しのはためくさま」の象形文字。
『漢字源』によると、「太陽がだんだん高く上がるさま」の会意文字。

解字の元となる古い字形がそれぞれ違うため、意味の取り方が違うように思えるが、共通するところもあるように思える。

それで、関連性のありそうな漢字を並べてみた。

朝・韓・斡・幹・翰・乾

共通する部分は、左側。興味深いのは、「朝」の一番古い字形の右側上部には何もない。一時期、右側上部に「斡」と同じものがある字形もあったが、今の字形は一番古い字形が元となっている。「韓」は元々あったものが省略されてしまっている。

それで、こう考えてみた。

まず、月が沈み、草と草の間から日(太陽)が昇る様子から、「朝」という漢字ができた。

そして、日(太陽)が昇る様子は畏敬の念を持って見られていたことから、それをイメージした「旗(はた)」そのものが作られたんではないか。そして、旗が風でなびいている様子を表すために右側上部にその形を付け加えたんじゃないかと想像している。

一方、「斗」は、「柄杓(ひしゃく)」とする見方もあるようだが、「斡」の一部としては「北斗星」としたほうが理解しやすい。

というのも、中国では、古い時代から天体観測や気象観測が行われていて、それを元にして、暦や占いが発達していったことを考え合わせると、「斗」=「星」と考えた方が漢字の作り方としては納得がいく。

星に関しては、各国で様々な神話があるようで、中国では、北斗星は帝(みかど)の乗り物と考えられていたり、北斗は「死」を司(つかさど)り、南斗は「生」を司ると考えられたりしていたという記述もみられた。

そんなことをあれこれ調べていて、思いつくのは、

北斗の拳

「おまえはもう死んでいる!」という台詞(セリフ)が耳に残っているが、これは史実に基づいていたということがわかって感心することしきり。

以上、「斡」についての覚え書き。

上記に挙げた、「韓・幹・翰・乾」については、長くなりそうなのでまた日を改めて。

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