「仰天不愧󠄀」という四字熟語にある「不」について調べてみました。よくみる漢字ですが、成り立ちについては植物としての「花」についての知識が必要で、とても勉強になりました。
では、まず「不」の意味の確認です。
「不」は他の言葉に付いて、ものごとを打ち消したり、反対の意味を表わします。「・・・ない。・・・しない。・・・でない。」といった感じですよね。
一方、花の「萼(ガク)」のことを意味するようで、「大きい、ふっくらとして大きい」という意味があるようです。
次に成り立ちです。『漢字源 改訂第五版』『新漢語林 第二版』『角川新字源 改訂新版』の解説を順にみてみます。
・象形。ふっくらとふくれた花の萼(がく)を描いたもの。
・象形。花のめしべの子房の形にかたどり、はなぶさ(花房)の意味を表す。
・象形。花の萼(がく)の形にかたどる。
どれも象形文字としていますし、花房は萼のことを言うそうなので、成り立ちについてもほとんど同じと考えていいかと思います。ただ、2番目の解説で「花のめしべの子房の形」が花房(萼)の意味を表わすという解説は理解しにくいです。
そこで、改めて、花の各部分の名称について小学生に戻ったつもりで<笑>、復習します。

一番下にある「萼(がく)」は花の最も外側にあって、花がまだ蕾(つぼみ)のときに花を保護する役割があるとのこと。このことから、花が咲く前の蕾の状態のとき、花を包んでいる萼がふっくら大きくなったように見えるということだろうと思います。
しかし、「不」の古い字形と照らし合わせるとどうも腑に落ちません。
ということで、今度は、「不」の古い字形を2つ見てみます。


わかりにくいと思いますが、これはおそらく花が下向きに咲いている状態だと思います。三角を反対にした部分は「萼」か「子房」でしょうか。
そして、2つの字形に共通する三本の線ですが、おそらく真ん中が「雌しべ」で両脇が「花弁=花」を表わしているのではないかと思います。
この2つの古い字形を、すでに花が咲いている状態を描いた形だとして、3つの辞典にある成り立ちを理解しようとすると、まず花であることを表わすために花全体を描き、そして、花の一部分の「萼」を強調して描こうとしたということだろうと思います。
しかし、上記のような古い字形では、なかなかそういうふうには見えず、反対に、真ん中の雌しべが受粉に失敗して実や種ができなかった状態に見えてしまったのではないでしょうか。そのため、打ち消しや否定の意味として使われるようになったのではないかと思います。
そして、受粉に成功しふっくら膨らんだ状態の意味を表わす漢字として、「不」に「一」を加えて、「丕」という漢字を作ったのかもしれません。
余談ですが、「不」の漢字の元となる植物あるいは花はなんだったのかいろいろ調べてみました。
垂絲海棠(すいしかいどう)や木槿(むくげ)、あるいは芥子(けし)などを候補に挙げ、成り立ちや意味と照らし合わせたりしてみましたが、結局わかりませんでした<苦笑>。でも久しぶりに小学生の頃に学んだことなどを思い出し、いい勉強になったと同時に、昔を懐かしむことができました。

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