読み:はくがくしんもん
意味:幅広く学び、深く詳しく問いただすこと。
出典:『中庸』<第十一章> *『大学・中庸』金谷 治訳注、岩波文庫
解説①:
出典についてですが、朱子(朱熹)という人は全体を三十三章に分けていて、その場合は<第二十章>となります。一方、金谷治氏は全体を十九章に分けて解説されていて、わたしはその本を元にしていますので、出典を<第十一章>としています。
解説②:
この四字熟語は第十一章の二節にあります。まず、その二節を引用します。
「何事でもひろく学んで知識をひろめ、くわしく綿密に質問し、慎重にわが身について考え、明確に分析して判断し、ていねいにゆきとどいた実行をする。[それが誠を実現しようとつとめる人のすることだ。]
~~~略~~~
他人が一の力でできるとしたら、自分はそれに百倍の力をそそぎ、他人が十の力でできるとしたら、自分は千の力を出す。もしほんとうにそうしたやり方ができたなら、たとい愚かな者でも必ず賢明になり、たとい軟弱な者でも必ずしっかりした強者になるであろう。」
黄色のマーカー部分が今回の四字熟語「博学審問」ですが、では、なんのために?ということが青色の部分になります。
この「誠(まこと」という言葉が非常に重要です。
では、「誠」とはいったい何なんでしょうか? 辞書には、「嘘(うそ)偽(いつわ)りのない心。真心(まごころ)。」というような意味であると説明してありますが、難しいですね。わたしもよくわかっていませんが、自分なりの理解では、赤色のマーカーの部分にあるように、自分の態度であったり、何かを行うときに、常に嘘偽りがないかどうか、自分に正直であるかどうかを意識して実行するという心を持つことではないかと考えます。そして、その判断材料として、いろんなことを幅広く学び、少しでも疑問に思ったらそのままにせず、疑問点を解決することが大切だと言っているのだと思います。
解説③:
この四字熟語にある漢字では、「博」「審」の説明が必要になってくると思います。それぞれ成り立ちの説明がやや複雑になりますので、「出直し!漢字学習・博」「出直し!漢字学習・審」で解説します。
ここでは、「博」「審」の意味について説明します。
博
訓読みで「ひろーい」と読みますが、子どもたちが知っている「ひろーい」は「広い」だと思います。一般的には「広い」と書いていいと思いますが、「博い」の場合、勉強や研究などといった知識が深い・豊か、よく理解している、というときは「博い」のほうが的確に言い表せると思います。ただ、訓読みで「博い」というふうに書くことは、わたし自身あまりなくて、「博」は、「博士、博物館」、そして、今年(2025年)4月に始まった大阪での「万博(万国博覧会)」というような熟語で目にすることが多いと思います。
「博」には賭け事を表す「博打(ばくち)」「賭博(とばく)」という熟語もありますが、子どもたちから質問がないかぎりは、この四字熟語を説明するときには触れなくていいと思います。
この「博」という漢字と旁(つくり)が似ている漢字に専門の「専」があります。右肩に点があるかないかの違いです。この違いについても、「出直し!漢字学習・博」で説明しようと思っています。
審
熟語では、「審査(しんさ)」「審判(しんぱん)」という言葉を見たり聞いたりするかもしれません。サッカーや野球などのスポーツが好きな子どもであれば、レフェリーという意味の審判員という言葉が思いつくと思います。
訓読みはちょっと難しくて、「審(つまび)らか」と読み、「詳(くわ)しい、細かいところまではっきりと」というような意味になります。「審らかにする」というと、「詳しく、細かいところまではっきりと調べる」という意味になります。
「つまびーらか」という訓読みは耳慣れないことばだと思います。「審」は常用漢字ですから、小学校では習わないと思います。子どもたちから質問されなければ、取り立ててこの訓読みを教えなくてもいいと思います。もし、質問が出たり、興味を持つような場合には、「出直し!漢字学習・審」で解説しますので、それを参考にして教えてください。
*「博」「審」共、「出直し!漢字学習」で解説します。しばらく時間がかかりますが、掲載した順にリンクを張り、このページでお知らせします。
*2025年5月3日に「出直し!漢字学習・審」を掲載しました!
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