471:読書尚友

読み:どくしょしょうゆう
意味:書物を読んで、昔の賢人を友とすること。
出典:『孟子』<万章章句・下>

解説①:
 この四字熟語に登場する「万章(ばんしょう)」は孟子の弟子の一人で、儒教における”賢人”と言われています。『史記』によると、四書五経の一つの『孟子』は、孟子本人が弟子の万章とともに孔子の教えを顕彰するため共著した書物とされていますが、万章ともう一人の弟子・公孫丑(こうそんちゅう)との共同著述という説もあるそうです。
 この四字熟語は、弟子の万章が孟子に質問をし、その答えの中にあります。

解説②:
 出典部分の訳文を引用します。

「天下での勝(すぐ)れた人物を友達としても、なおかつ満足できなければ、さらに昔にさかのぼって、古(いにしえ)の聖人や賢人を論じて友達とするものだ。だが、いかにそれら古人の作った詩を吟じ、その著わした書物を読んでも、その作者の人物を知らないでいったいよいものだろうか。だから、さらに進んでその古人の活動した時代を論究(よく批判して研究)していかねばならぬ。これがつまり『尚友』、すなわち『さかのぼって古人を友達とする』ということなのだ。」『孟子(下)』<万章章句・下>8章、小林勝人、岩波文庫、p215

 興味や関心をもって手にした本。それを読んで理解するだけではなく、その本を書いた人はどんな人なのか、どんな生き方をして、どんな時代を過ごしてきたのか、どんな人たちと関わってきたのか、といった、その人の背景を知ることによって、伝わってくるものが違っていると思います。そして、本の中身だけでなく、その人の生き方や考え方に共感したりすることもできると思います。
 身近にいる友だちだけでなく、その気になれば、年齢や性別、地位や身分、更には、何千年も前に生きていた人とでも友だちになれるなんて、すごいことだと思います。

 読書にはそんな楽しみもあるんだということを教えてくれる四字熟語です。

解説③:
 この四字熟語にある「読」「書」「尚」は、出直し!漢字学習のコーナーでそれぞれ解説をします。

 「友」についてだけ、簡単にふれておきます。

 「友」の古い字形は、

です。「又(手)」と「又(手)」を取り合っている、手の下に別の手を添えている、といった様子を表わしています。そのような様子から、助ける、かばう、などといった意味にもとられ、「ともだち」という意味として使われるようになった漢字です。

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