格:教育&常用漢字、漢検6級

音読みは、「カク、コウ」
訓読みは、「いた―る、いた―す、ただ―す」
意味は、『新漢語林 第二版』より。
 ①いた-る(至)。来たる。また、いたす。来たす。
 ②ただ-す(正)。改める。
 ③そむく。食い違う。「扞格(カンカク)」
 ④たたかう。撃つ。「格闘」
 ⑤のぼる(登)。あがる。挙げる。
 ⑥あたる(当)。てむかう。敵対する。
 ⑦止める。止めおく。さしおく。
 ⑧のり。おきて。法則。「格式」
 ⑨地位。身分。品等。「資格」
 ⑩ようす。おもむき。姿。「風格」
 ⑪こうし(格子)。方形に組み合わせたもの。
 ⑫位。文法上、文中で語句が他の語句に対する関係を示す語。「主格」
 ⑬たな。本だな。
解字は、比較のため、3辞典から引用。
『漢字源 改訂第五版』
 会意兼形声。各は、夂(あし)と四角い石を組み合わせて、足がかたい石につかえて止まったさまを示す。格は「木+(音符)各」で、つかえて止めるかたい棒、引っ掛かる木。
『新漢語林 第二版』
 形声。木+各。音符の各は、いたる・つきでるの意味。木の枝がいたりつく、つきでるの意味を表す。転じて、ようす・のり(法)などの意味をも表す。
『角川新字源 改訂新版』
 形声。木と、音符各カクとから成る。長く突き出た枝、ひいて、つっかかる意を表す。借りて、くぎり、ひいて「ただす」意に、また、「いたる」意に用いる。

 格物致知(かくぶつちち)という四字熟語について調べていたとき、この「格」という漢字の成り立ちや、なぜそういう意味があるのか疑問に思い、調べてみました。

 まず、この漢字は、
「木+各」
という組み合わせでできています。
 「木」は、松や杉といった植物としての木の意味の他、木で作ったものや木でできているものを表すために用いられるという理解でいいと思いますが、「各」は、辞書によって成り立ちに違いがあるため、どれが正しいのかはわかりませんが、次のような解字が一番わかりやすかったです。
 「各」は、
「夂+口」
という組み合わせでできています。
 「夂󠄀」は、音読みで「チ」。部首名は「ふゆがしら」。似ている漢字に「夊」という漢字があって、音読みは「スイ」。部首名は「すいにょう」。この2つは形が似ているため、常用漢字では区別されず、「夂󠄀、チ、ふゆがしら」で統一されているようですが、漢字の上の部分のときは、「冬」のように「ふゆがしら」で、「愛」のように下に書くときは「すいにょう」と分けて考えられるようです。
 どちらも「足」を象った漢字で、「夂󠄀(チ)」は、かかとが上でつま先が下となって上から下に降りてくるようなイメージです。「夊(スイ)」も形としては同じようですが、足を引きずるとかゆっくり歩く、といった意味を持つようです。
 「口」は、人間や動物でいうと「くち」ですが、出入り口というように、穴のような「場所」を表す漢字でもあります。「各」では、「場所」を表す漢字と理解するとわかりやすいと思います。
 「各」の意味ですが、『角川新字源 改訂新版』では、
①いたる。いたりつく。
②おのおの。それぞれ。ひとりびとり。
としています。
 「各」という漢字の成り立ちから考えると①の意味があるのはわかるんですが、ではなぜ②のような意味ができたのか。そして、今はおそらく②の意味でしか使われないようになってしまったのか。

その理由を自分なりに整理してみました。

1.古い時代、「各」は「いたる」という意味で使われていました。上から下へと、ある場所へ降りてくる、ある場所へ達する、到着するといったイメージ。
2.一方、同じ意味を表す漢字として、「至」が作られました。これは、「矢が地面に突き刺さる、矢がある場所に到達する・届く」といったイメージ。
3.「各」「至」のどちらが先にできた漢字なのかわかりませんが、「至」が「いたる」というイメージをより的確に表しているため。
4.そのため、「各」は「いたる」という意味では次第に使われなくなり、主に②の意味で使われるようになった。

 では、なぜ「各」は②の「おのおの。それぞれ。ひとりびとり。」という意味になったのかですが、足が片方しか描かれてないということからなのではないかと考えます。
 白川静氏の『字統』によると、「相伴って下るのを”皆”、この”皆”に対して単独で下るのを”各”という」とあり、それで各自という意味となったのだろうとの解説がありました。

 次に「格」について考えました。

 「格」は「各」に「木」を加えた漢字ですが、おそらく木でできた(作られた)何かなのだろうと思います。それを手がかりに考えたところ、格子の文様が頭に浮かびました。いろんなパターンがあるとは思いますが、細長い木材が縦横に碁盤の目のように組み合わさっているイメージがあります。そのデザインから受ける印象として、同じ形の図柄が正確に並んでいる様子であったり、複雑に絡み合ったりしている様子が思い浮かびます。そういったイメージをもとにして、「格」の意味が派生していったのではないかと考えます。

 
 


 


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