違:常用漢字、漢検4級

この漢字は、

「辶(しんにゅう、しんにょう)」+「韋」

という構成。

「韋」については、

韋:漢検1級

に書いたので、ここでは、その意味を復習。

①なめしがわ。毛を取り去って柔らかくした動物のかわ。
②なめしがわのように柔らかい。しなやか。
③そむ―く。行き違いになる。
④取り囲む。めぐらす。まわりにめぐらした囲い。

それから、「辶」について。

これは、「辵(チャク)」という漢字が偏(へん)として用いられるときの形。

「辵」は、「彳󠄀(テキ)*行の右側」+「止*」で、

・道を行く

といった、足で行う動作を表すとのこと。

*「止」はここでは「止まる、止める」という意味ではなく、「歩く」の省略形。

以上のことを踏まえて、「違」の意味を『漢検漢字辞典』でみてみる。

①ちがう。異なる。
②たがう。そむく。したがわない。
③さる。離れる。
④よこしま(邪)。悪いこと。

③④の意味で使うことはなかったが、①②の派生的な意味と考えると、なんとなくわかるような気がする。

訓読みは、

・ちがーう、ちがーえる

の他、

・たがーう、たがーえる、さーる、よこしま

とあり、「なるほど、そういうふうにも読むのかあ」と思っていたら、更にもうひとつ、『漢検漢字辞典』にあった。

・かーい

・・・。これがなんなのかわからず、あれこれ調べていたところ、やっとわかった。それは、

筋違い

と書いて、

・すじかーい

とも読む(言う)とのこと。

普通、筋違いは「すじちがい」と読んで、

・道理にはずれたこと。手続きにはずれたこと。
・見当ちがい。*お門(かど)ちがい(目標を間違えること)。
*訪ねる家を間違える意から。

の他、筋肉を無理に動かすなどして痛めること。『広辞苑』

だとばかり思っていたら、広辞苑も明鏡国語辞典もまず一番に、

・斜めに交差していること。また、位置関係が斜めになっていること。
すじかい。はすかい。『明鏡国語辞典』

という意味を挙げていた。おそらく、意味の混同を避けるため、「すじかい」と読むようになったのだろうと思う。

建築業界用語で、

柱と柱の間に斜めに入れて建築物や足場の構造を補強する部材

のことを言い、

筋交い

とも書く。

最後に、「違」を使った熟語で、気になったものをメモしておく。

違旨(イシ)
目上の人の意にそむく。

違例(イレイ)
①これまでのしきたりにそむくこと。
②[日本]身分の高い人の病気のこと。不例(フレイ)ともいう。
*いつもの状態ではないということを、はっきりとした表現をせず、遠回しに言う。

違和(イワ・イカ
身体の調和を失って気分がすぐれない。病気になる。
また、今までと違いすぎてしっくりこない。「違和感」
*「異和感」とは書かない。

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