竹田津 実/文・写真
瀬川尚志/絵
発行所:PHP研究所
発行年:2018年11月(第1版第1刷)
出版社からの内容紹介:
竹田津実さんは、獣医師として長年、動物の治療に関わってきた。法律上は、野生の動物を勝手に助けてはいけないことになっている。しかし、怪我などをした野生の動物が「森の診療所」に持ち込まれた場合、竹田津さんはそのまま放っておくことができず、治療や看病をしてやり、森に帰すようにしてきた。
「ウー」という名前をつけられたキタリスの子は、最初は竹田津さんの前でおびえていたが、次第になつき、森に帰ったあともまた戻ってくるようになる。ある時は、竹田津さん目がけてヤマグワの実を落とすなどといういたずらをしたり、またある時は、散歩についてきたり……。ウーも次第に大人のキタリスへと成長していき、命がけでライバルと闘うまでに……。
本書は、お人よし獣医師のことが大好きなキタリスと竹田津さんとの心の交流を紹介しつつ、生命の不思議や凄さを伝える。
小学校中学年以上を対象にした、「心のノンフィクション」シリーズの1冊。
随感随筆:
竹田津先生に命を救われた動物たち。その背景には、傷ついた動物たちを目の前にして、そのままにはしておけない心優しい人たちがいます。
ある日、飛べないトビを先生のところに持ってきた小学生の兄弟。翼を支える大切な骨の一部がないため、安楽死させるしか選択肢がないことを告げると、兄弟たちは大泣き。そこで、先生の奥さんが「子どもを泣かせてはいけません」と言われたそうです。素敵なご夫婦ですね。
人に助けられ育てられた動物はそのままでは野生に戻れないため、先生はそのお手伝いもされます。助けるというのはそういうことなんでしょう。ただただ感心します。
自然との共生のあり方と可能性、自然界の営みの中で失われていく命に感謝をすることを学べる本です。そして、人としての良心、道徳や倫理観を問いかけられ、考えさせられる本です。
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