はしのうえのおおかみ

作・奈街三郎
絵・花之内雅吉
発行所:鈴木出版
発行年:1991年11月(初版第1刷)*2020年11月に新装版発行

出版社からの内容紹介:
うさぎが一本橋をわたっていくと、橋の上で、おおかみはおおいばり。「おれがさきだ。もどれ」と、だれが来ても通してくれません。そんなある日、おおかみが一本橋を渡っていくと、目の前に現れたのは大きなくま。驚いたおおかみはくまに橋をゆずりますが、くまはもっと大きな心の持ち主でした。なんとおおかみの体をひょいと持ち上げて…。親切にしてもらうと、他人にも親切にしてあげたくなります。一本の橋の上で起こるドラマを鮮やかに切り取った傑作。

随感随筆:
谷川にかかる一本の木の橋。その橋の通行を巡るお話です。
乱暴者のおおかみは他の動物たちの通行を妨げることを愉しく感じていましたが、自分よりも強いクマに親切にされたことで、他者にやさしくすることの愉しみを知ります。
他者に対する思いやりというのは、自らの経験によって生まれるものだと思いますが、それをこの絵本では疑似体験させてくれます。そして、そのおおかみのやさしさが森の平和につながっていくという物語は、子どもたちの心を豊かにしてくれるものだと思いました。
橋の上でクマに抱きかかえられ、涙目になっているおおかみ。そして、やさしいクマが立ち去る後ろ姿をいつまでも見送るおおかみの場面というのは、言葉では伝えられない何かを心に残してくれます。

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