作:椋 鳩十
絵:村上 康成
発行所:理論社
発行年:2018年2月
出版社からの内容紹介:
「しんでは いけない。しんでは いけない」はげしく襲う痛みに気が遠くなるなか、母ぐまは二ひきの子ぐまを思い、のうみその奧の方でさけびました。命のきけんと隣り合わせの野に生きる、くまの母子の愛をえがいたお話です。
随感随筆:
この絵本は、母親の子供にたいする愛情がどのぐらい深いものなのかが描かれています。この絵本を手にしたお子さんたちが、自分の身に置き換えて、おかあさんの愛情を感じ取ってもらえたらと思います。今の世の中でも愛情深いお母さんがほとんどだとは思うんですが、一方で親が子供を虐待したり、はては殺したりするといったニュースが後を絶ちません。この絵本を手にした子どもたちが大人になったとき、そんな殺伐とした社会にならないような世界を作ってもらえたらと願います。
このお話は、母親の子供に対する愛情の深さを描いたお話なんですが、一方で、自然や熊たちの生活ぶりがとてもくわしくわかりやすく描かれています。春の雪どけのなだれの音が、「ねざめ前のお母さんのやさしい歌のように気持ちよく響いてくる」と表現されていたり、冬眠から覚めたばかりの食事のようすでは、子グマがぺたんとおしりをついてすわって、さわがにを食べるところなど、思わずにっこりとしてしまいます。
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